取り組もうCSR

ワーク・ライフ・バランス支援制度


知っているようで知らない、わかっているようでわかっていない、職場のさまざまな問題を、社会保険労務士がCSRの観点から解説します。
今回は「ワーク・ライフ・バランス支援制度」です。  


社長「先日、従業員から、『子どもの保育園の迎えを親にしてもらっていたのが、自分がしないといけなくなり、短時間勤務をしたい』といってきた。うちは、そんな制度ももちろんないし、夕方から忙しくなるので難しいといったのだが、なにか法改正がどうのこうのと言っていたが、そんな制度ができたのかな?」

社労士「そうですね、以前に育児介護休業法の改正があったのですが、一部について100人以下の企業は猶予されていたのですが、7月1日から全面施行になりました。」

社長「そうだったのか、そういえば、前に就業規則の改正をしてもらったときに説明してもらっていたような気がするな・・・それで、会社はどうすればいいのかね?」

<100人以下の企業で7月1日から施行された制度>

育児のための所定労働時間短縮措置(育児・介護休業法23条)

 3歳に満たない子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を講じなければなりません。ただし、1日の所定労働時間が6時間以下の労働者は除かれます。
 改正前は、短時間勤務制度や所定労働時間の免除、時差出勤の制度等から選択するという制度でしたが、今度の法改正により、原則として、所定労働時間を6時間とする措置が必ず含まれていなければなりません。
 「原則として」とは、所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とすることを原則としつつ、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間45分から6時間までを許容するという趣旨です。

1日6時間労働

 労使協定を締結することで、以下の①②③の労働者については対象としなくてよくなります。
① 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
③ 業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

 ③の場合、事業主は、当該労働者に対して、育児休業に関する制度に準ずる措置又は「始業時刻変更等の措置」を講じなければなりません。
 「始業時刻変更等の措置」としては、次のいずれかの措置があります。
ア フレックスタイムの制度
イ 始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
ウ 労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

介護休暇制度(育児・介護休業法16条5)

 従業員が要介護状態にある対象家族の介護等をする場合、1年度において5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を限度とした介護休暇を取得できるようにしなければなりません。
 「要介護状態」「対象家族」の範囲は介護休業と同じです。

介護休暇

*要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。
*対象家族とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母、労働者が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫です。

 取得目的は、対象家族の介護のほか、入院付き添いや施設の手続きの代行なども含まれます。
 労使協定を締結することで、以下の①②の労働者については対象としなくてよくなります。
① 当該事業主に引き続き雇用された期間が6カ月に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

育児のための所定外労働の免除(育児・介護休業法16条8の1)

 3歳に満たない子を養育する従業員がその子を養育するために請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は請求を拒むことができます。

残業

 労使協定を締結することで、以下の①②の労働者については対象としなくてよくなります。
① 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の労働

(社会保険労務士 古川裕子)

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